主な取り組み

2024春季生活闘争の取り組み

運輸労連の取り組み

 私たちは、これまでの春季生活闘争で、トラック運輸産業で働く労働者の処遇改善ならびに他産業との格差是正に向けて、加盟組合と中央本部、地連・都府県連が一体となって、精力的な交渉を積み重ねてきました。2023春闘では、価格転嫁が進展しない中、原材料や燃油費の高騰、急速な円安による物価上昇などが影響し、厳しい企業業績の中での交渉となりましたが、平均妥結額は、前年を1,846円上回る4,093円となり1996年の4,355円以来27年振りに4,000円台となりました。しかし、依然として他産業に比べて低位に置かれたままであり、私たちの賃金は満足できる水準とはいえない状態が続いています。
 また、2024年4月からは改正改善基準告示が適用され、総拘束時間が原則年3,300時間・月284時間となり、加えて自動車運転の業務の時間外労働時間の上限規制が年960時間となります。
 私たちは2024春季生活闘争を通じて、組合員の生活維持・向上を図り、他産業との格差是正に結びつけていくとともに、長時間労働に頼らない賃金制度の確立・改善を図り、国民生活と日本経済を守るためにも、若者や女性の集まる魅力ある産業を実現していかなければなりません。
 要求の組み立てについては、第56回定期大会をはじめ、これまでさまざまな場で討議を行っており、これらの経過も踏まえて、2024春季生活闘争の基本構想について次のとおり提起します。

トラック運輸産業の課題(2024年問題への対応)

  運輸労連はこの間、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」などの会議に参加し、「改正 貨物自動車運送事業法(2018年12月14日成立)」「月60時間を超える時間外労働の割増賃金50%の中小企業への適用猶予廃止(2023年4月1日適用)」「貨物自動車運送事業法の一部改正(2023年6月14日成立)」「自動車運転者の時間外労働の上限規制導入(2024年4月1日適用)」「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の見直し(2024年4月1日適用)」など、トラックドライバーの労働諸条件、労働環境の改善に取り組んできました。
 働き方改革に関する法律が2024年4月から適用される一方、物流の停滞による経済や国民生活への影響が懸念される、いわゆる「2024年問題」が取り沙汰されています。NX総合研究所によると、何も対策を講じなければ、2024年度には約14%、2030年度には約34%の輸送力不足の可能性が懸念されており、このような状況下で、国は2023年6月に「物流革新に向けた政策パッケージ」を策定しました。そして、2023年10月6日には、新たに「物流革新緊急パッケージ」を取りまとめるなど、2024年問題が迫る中、賃上げや人材確保など、各種政策に着手しています。
 私たちは、トラックドライバーの働き方改革を進めると同時に、いわゆる「2024年問題」にも対処すべく、今後も輸送力不足の解消に向けて可能な政策の前倒しを求めていくとともに、物流産業を魅力ある職場とするため、早急に具体的な成果が得られるよう国政および行政への働きかけを強めていきます。

【物流革新緊急パッケージ(抜粋)】
1.物流の効率化
 ◆即効性のある設備投資・物流DXの推進・物流事業者や荷主企業の物流施設の自動化
 ◆モーダルシフトの推進
 ◆トラック運転手の労働負担の軽減、担い手の多様化の推進
 ◆物流拠点の機能強化や物流ネットワークの形成支援
 ◆標準仕様のパレット導入や物流データの標準化・連携の促進
 ◆燃油価格高騰等を踏まえた物流GXの推進(物流拠点の脱炭素化、車両のEV化等)
 ◆高速道路料金の大口・多頻度割引の拡充措置の継続
 ◆道路情報の電子化の推進等による特殊車両通行制度の利便性向上

2.荷主・消費者の行動変容
 ◆宅配の再配達率を半減する緊急的な取組

3.商慣行の見直し
 ◆トラックGメンによる荷主・元請事業者の監視体制の強化(「集中監視月間」(11〜12月)の創設)  ・荷主による違反原因行為の調査を踏まえた「要請」等の集中実施、国土交通省及び荷主所管・法執行行政機関による連携強化 ◆現下の物価動向の反映や荷待ち・荷役の対価等の加算による「標準的な運賃」の引き上げ(年度内に対応予定)  ◆適正な運賃の収受、賃上げ等に向け、次期通常国会での法制化を推進  ・大手荷主・物流事業者の荷待ちや荷役時間の短縮に向けた計画作成の義務付け、主務大臣による指導  ・勧告・命令等・大手荷主に対する物流経営責任者の選任の義務付け  ・トラック事業における多重下請け構造の是正に向け下請状況を明らかにする実運送体制管理簿の作成、契約時の(電子)書面交付の義務付け

1.賃金・労働条件の取り組みについて

 2024春季生活闘争では、連合の方針を基本に、総合生活改善の取り組みと位置付け、すべての組合が要求書を提出し、次のとおり交渉を行うこととします。

  • ① トラック運輸産業に従事する労働者の生活水準の維持・向上はもとより、定着率を高め新たな「人財」確保の観点からも、他産業に比べ低位に置かれている現状の改善につなげる要求とする。
  • ② 賃金と一時金の両面から「年間所得の向上」をめざした要求とする。
  • ③ 産別として要求基準を設定し、企業実態や地域事情を踏まえた要求とする。
  • ④ 総労働時間の短縮が賃金水準の低下に直結することのないよう、「モデル賃金」を参考にベースアップを含めた固定給部分の引き上げにつなげる要求とする。
  • ⑤ 総労働時間の短縮につなげる施策を労使で構築するとともに、賃金制度の確立と改善につなげる要求とする。
  • ⑥ 企業内最低賃金協定の締結と特定最低賃金確立の取り組みの強化につなげる要求とする。
  • ⑦ 定年延長の取り組みと労働諸条件の改善をめざした要求とする。

要求基準(水準)について

  • ① 平均要求方式としての統一要求基準は、所定内労働時間賃金に、定期昇給(相当)分の1.5%と、他産業および業界内における格差是正分ならびにこの間の物価上昇を勘案し、賃金改善分(含む、格差是正分・物価上昇分)としての4.5%を加えた6.0%を乗じたものとし、賃上げ要求額は、15,000円中心とします。
     なお、地域実態と隔たりの大きい場合には、「◆要求に関する考え方A」を基本に、地域のベース賃金を算出して要求額を設定できることとします。
  • ② 個別賃金要求は、他産業との格差是正を考慮したものとします。なお、18歳高卒初任給の参考目標値は連合方針と同額の186,800円とします。加えて、個別賃金要求方式については、トラック運輸産業の実態を踏まえ、めざすべき賃金水準の設定や具体的な取り組み方法、モデル賃金の「一人前」の定義との関係などについて、他の産別の取り組みを参考にしつつ、労働政策委員会等で議論を重ねていくものとします。
  • ③ 連合方針を踏まえ、パート・有期労働者の賃金をはじめとする処遇改善に取り組むこととします。

◆要求に関する考え方

  • ① 統一要求額については、2024春季生活闘争より「運輸労連全国単組(平均賃上げ方式11組合)の所定内労働時間賃金の単純平均」と「連合・組合員300人未満規模組合(全産業対象・平均賃金方式)の春季生活闘争要求ベースの単純平均」をベースとして使用することとし、その平均である251,116円に、定期昇給(相当)分の1.5%と、賃金改善分(含む、格差是正分・物価上昇分)としての4.5%を加えた6.0%を乗じ、15,000円中心としました。
  • ② 地域実態との隔たりが大きく、地域のベース賃金を基礎として設定する場合の要求額は、ブロック内の直接加盟組合における所定内労働時間賃金の単純平均に、定期昇給(相当)分の1.5%と、賃金改善分(含む、格差是正分・物価上昇分)としての4.5%を加えた6.0%を乗じて算出することとします。
     その場合、所定内労働時間賃金は、基本給と、通勤手当を除く諸手当に所定内労働時間分の歩合給を加えたものとします。なお、諸手当の位置付けについては組合ごとにさまざまであることから、その取り扱いについては、ブロックの判断とします。

     


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