主な取り組み
2023春季生活闘争の取り組み
運輸労連の取り組み
私たちは、これまでの春季生活闘争で、トラック運輸産業で働く労働者の処遇改善ならびに他産業との格差是正に向けて、加盟組合と中央本部、地連・都府県連が一体となって、精力的な交渉を積み重ねてきました。2022春闘では、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、原材料や燃油費の高騰、さらにはロシアのウクライナ侵攻が物価上昇に拍車をかける厳しい企業業績の中での交渉となりましたが、平均妥結額は、前年を334円上回る2,247円となり2,000円台を回復しました。しかし、依然として他産業に比べて低位に置かれたままであり、私たちの賃金は満足できる水準とはいえない状態が続いています。
加えて、2023年4月からは、中小企業に対する月60時間超の割増賃金率が50%以上となり、2024年4月からは乗務職の時間外労働時間の上限規制が年960時間となります。
私たちは2023春季生活闘争を通じて、組合員の生活維持・向上を図り、他産業との格差是正に結びつけていくとともに、長時間労働に頼らない賃金制度の確立・改善を図り、国民生活と日本経済を守るためにも、若者や女性の集まる魅力ある産業を実現していかなければなりません。
要求の組み立てについては、第55回定期大会をはじめ、これまでさまざまな場で討議を行っており、これらの経過も踏まえて、2023春季生活闘争の基本構想について次のとおり提起します。
新型コロナウイルス感染症への対応
私たちトラック運輸産業は、食料や生活必需品はもとより、医療関係用品・医薬品など、国民生活や生命にかかわる物資の輸送を担うライフラインであり、ドライバーをはじめとする労働者の心身両面での健康や生活の安定は必要不可欠です。
したがって、引き続き、コロナ禍による職場への影響の把握に努め、必要に応じて、運輸労連政策推進議員懇談会を通じての政府への要請、および行政、事業者団体に対する要請等に取り組むとともに、対応企業に対しても組合員の感染防止への取り組みの強化を求めることとします。
また、新たな感染症が周期的に発生することを想定し、平時からの対応についても、同様に要請等に取り組むこととします。具体的には、第55回定期大会で決定された以下の項目について取り組むこととします。
- 1.トラック運輸産業に対する国民および経済団体等の理解と協力について
- 2.感染予防対策について
- 3.トラック運輸産業に従事する労働者の新型コロナウイルス感染時の補償ならびに雇用調整助成金のさらなる拡充について
- 4.会費の減免(2023年4月納入分まで)
- 5.新型コロナウイルス等の新たな感染症への今後の対応
賃金・労働条件の取り組みについて
2023春季生活闘争では、連合の取り組み方針を基本に、「賃金や一時金の引き上げ」「賃金制度の確立・改善」「企業内最低賃金協定の締結」「65歳までの定年延長の確立と労働諸条件の改善」「総労働時間の短縮と改善基準告示および労働基準法の改正への対応」「パート・有期・派遣労働者の処遇改善」、さらには「退職金制度の確立と充実」など、トラック運輸労働者の生活安定と労働環境改善につなげる要求を掲げて、総合生活改善の取り組みと位置付けます。すべての組合が要求書を提出し、次のとおり交渉を行うこととします。
- ① トラック運輸産業に従事する労働者の生活水準の維持・向上はもとより、定着率を高め新たな「人財」確保の観点からも、他産業に比べ低位に置かれている現状の改善につなげる要求とする。
- ② 賃金と一時金の両面から「年間所得の向上」をめざした要求とする。
- ③ 産別として要求基準を設定し、企業実態や地域事情を踏まえた要求とする。
- ④ 総労働時間の短縮が賃金水準の低下に直結することのないよう、「モデル賃金」を参考にベースアップを含めた固定給部分の引き上げにつなげる要求とする。
- ⑤ 総労働時間の短縮につなげる施策を労使で構築するとともに、賃金制度の確立と改善につなげる要求とする。
- ⑥ 企業内最低賃金協定の締結と特定最低賃金確立の取り組みの強化につなげる要求とする。
- ⑦ 「65歳までの定年延長の確立と労働諸条件の改善」をめざした要求とする。
要求基準(水準)について
- ① 平均要求方式としての統一要求基準は、所定内労働時間賃金に、定期昇給(相当)分の1.5%と、賃金改善分(含む、格差是正分・物価上昇分)としての4.0%を加えた5.5%を乗じたものとし、賃上げ要求額は、13,700円中心とします。
なお、地域実態と隔たりの大きい場合には、「◆要求に関する考え方B」を基本に、地域のベース賃金を算出して要求額を設定できることとします。
- ② 個別賃金要求は、他産業との格差是正を考慮したものとします。なお、18歳高卒初任給の参考目標値は連合方針と同額の180,100円とします。加えて、個別賃金要求方式については、トラック運輸産業の実態を踏まえ、めざすべき賃金水準の設定や具体的な取り組み方法、モデル賃金の「一人前」の定義との関係などについて、他の産別の取り組みを参考にしつつ、労働政策委員会等で議論を重ねていくものとします。
- ③ 連合方針を踏まえ、パート・有期労働者の賃金をはじめとする処遇改善に取り組むこととします。
◆要求に関する考え方
- ① 交通労連・トラック部会と同率・同額の要求としました。
- ② 交通労連との統一要求額については、従来どおり今年度の両組織の共同ベース248,273円(所定内労働時間賃金の単純平均)に、定期昇給(相当)分の1.5%と、賃金改善分(含む、格差是正分・物価上昇分)としての4.0%を加えた5.5%を乗じ、13,700円中心としました。
- ③ 地域実態との隔たりが大きく、地域のベース賃金を基礎として設定する場合の要求額は、ブロック内の直接加盟組合における所定内労働時間賃金の単純平均に、定期昇給(相当)分の1.5%と、賃金改善分(含む、格差是正分・物価上昇分)としての4.0%を加えた5.5%を乗じて算出することとします。
その場合、所定内労働時間賃金は、基本給と、通勤手当を除く諸手当に所定内労働時間分の歩合給を加えたものとします。なお、諸手当の位置付けについては組合ごとにさまざまであることから、その取り扱いについては、ブロックの判断とします。
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