主な取り組み
2025春季生活闘争の取り組み
運輸労連の取り組み
私たちは、これまでの春季生活闘争で、トラック運輸産業で働く労働者の処遇改善ならびに他産業との格差是正に向けて、加盟組合と中央本部、地連・都府県連が一体となって、精力的な交渉を積み重ねてきました。2024春闘では、燃油費の高止まりや物価高などによる取り扱い物量の減少に加え、適正運賃の収受が進まないことなどが企業収益を圧迫し、厳しい企業業績の中での交渉となりましたが、妥結額は単純平均5,833円(前年1,740円増)、加重平均8,291円(前年901円増)となり、単純平均では1994年の5,254円以来30年振りに5,000円台となりました。規模別では、1,000人以上の組合における前年比較は、上昇率が単純平均で5.0%に対し、100〜 299人では50.6%と、中小組合における賃金の引き上げが前進する結果となりました。しかし、依然として他産業に比べて低位に置かれたままであり、私たちの賃金は満足できる水準とはいえない状態が続いています。
2024年4月からは改正改善基準告示が適用され、総拘束時間が原則年3,300時間・月284時間となり、加えて自動車運転の業務の時間外労働時間の上限規制が年960時間となりました。2023年11月には、政府より「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」が示され、交渉にあたっては「標準的運賃」を根拠資料とすることが記載されました。労働時間短縮への対応が求められる中、「標準的運賃」をはじめとする適正運賃・料金を収受し、労務費へ適切に転嫁することで、労働時間の短縮が賃金の低下とならないよう、さらに取り組みを進めていく必要があります。
私たちは2025 春季生活闘争を通じて、組合員の生活維持・向上を図り、他産業との格差是正に結びつけていくとともに、長時間労働に頼らない賃金制度の確立・改善を図り、国民生活と日本経済を守るためにも、若者や女性の集まる魅力ある産業を実現していかなければなりません。
要求の組み立てについては、第57回定期大会をはじめ、これまでさまざまな場で討議を行っており、これらの経過も踏まえて、2025春季生活闘争の基本構想について次のとおり提起します。
1.賃金・労働条件の取り組みについて
2025春季生活闘争では、連合の方針を基本に、総合生活改善の取り組みと位置付け、すべての組合が要求書を提出し、次のとおり交渉を行うこととします。
- ① トラック運輸産業に従事する労働者の生活水準の維持・向上はもとより、定着率を高め新たな「人財」確保の観点からも、他産業に比べ低位に置かれている現状の改善につなげる要求とする。
- ② 賃金と一時金の両面から「年間所得の向上」をめざした要求とする。
- ③ 産別として要求基準を設定し、企業実態や地域事情を踏まえた要求とする。
- ④ 総労働時間の短縮が賃金水準の低下に直結することのないよう、「モデル賃金」を参考にベースアップを含めた固定給部分の引き上げにつなげる要求とする。
- ⑤ 総労働時間の短縮につなげる施策を労使で構築するとともに、賃金制度の確立と改善につなげる要求とする。
- ⑥ 企業内最低賃金協定の締結と特定最低賃金確立の取り組みの強化につなげる要求とする。
- ⑦ 定年延長の取り組みと労働諸条件の改善をめざした要求とする。。
要求基準(水準)について
- ① 平均要求方式としての統一要求基準は、所定内労働時間賃金に、定期昇給(相当)分の1.5%と、他産業および業界内における格差是正分ならびにこの間の物価上昇を勘案し、賃金改善分(含む、格差是正分・物価上昇分)としての4.5%を加えた6.0%を乗じたものとし、賃上げ要求額は、15,500円中心とします。
なお、地域実態と隔たりの大きい場合には、「◆要求に関する考え方A」を基本に、地域のベース賃金を算出して要求額を設定できることとします。
- ② 個別賃金要求は、他産業との格差是正を考慮したものとします。なお、18歳高卒初任給の参考目標値は連合方針と同額の200,200円とします。加えて、個別賃金要求方式については、トラック運輸産業の実態を踏まえ、めざすべき賃金水準の設定や具体的な取り組み方法、モデル賃金の「一人前」の定義との関係などについて、他の産別の取り組みを参考にしつつ、労働政策委員会等で議論を重ねていくものとします。
- ③ 連合方針を踏まえ、パート・有期労働者の賃金をはじめとする処遇改善に取り組むこととします。
◆要求に関する考え方
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