物流の未来を支えるために(2030年問題への対応)

運輸労連はこの間、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」などの会議に参加し、「改正 貨物自動車運送事業法(2018年12月14日成立)」「月60時間を超える時間外労働の割増賃金50%の中小企業への適用猶予廃止(2023年4月1日適用)」「貨物自動車運送事業法の一部改正(2023年6月14日成立)」「自動車運転者の時間外労働の上限規制導入(2024年4月1日適用)」「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の見直し(2024年4月1日適用)」など、トラックドライバーの労働諸条件、労働環境の改善に取り組んできました。
働き方改革に関する法律が2024年4月から適用される一方、物流の停滞による経済や国民生活への影響が懸念される、いわゆる「2024年問題」が取り沙汰されています。NX総合研究所によると、何も対策を講じなければ、2024年度には約14%、2030年度には約34%の輸送力不足の可能性が懸念されており、このような状況下で、国は2023年6月に「物流革新に向けた政策パッケージ」を策定しました。そして、2023年10月6日には、新たに「物流革新緊急パッケージ」を取りまとめるなど、2024年問題が迫る中、賃上げや人材確保など、各種政策に着手しています。
私たちは、トラックドライバーの働き方改革を進めると同時に、いわゆる「2024年問題」にも対処すべく、今後も輸送力不足の解消に向けて可能な政策の前倒しを求めていくとともに、物流産業を魅力ある職場とするため、早急に具体的な成果が得られるよう国政および行政への働きかけを強めていきます。
物流革新緊急パッケージ(抜粋)
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物流の効率化
- ・即効性のある設備投資・物流DXの推進・物流事業者や荷主企業の物流施設の自動化
- ・モーダルシフトの推進
- ・トラック運転手の労働負担の軽減、担い手の多様化の推進
- ・物流拠点の機能強化や物流ネットワークの形成支援
- ・標準仕様のパレット導入や物流データの標準化・連携の促進
- ・燃油価格高騰等を踏まえた物流GXの推進(物流拠点の脱炭素化、車両のEV化等)
- ・高速道路料金の大口・多頻度割引の拡充措置の継続
- ・道路情報の電子化の推進等による特殊車両通行制度の利便性向上
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荷主・消費者の行動変容
- ・宅配の再配達率を半減する緊急的な取組
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商慣行の見直し
- ・トラックGメンによる荷主・元請事業者の監視体制の強化(「集中監視月間」(11~12月)の創設)
- ・荷主による違反原因行為の調査を踏まえた「要請」等の集中実施、国土交通省及び荷主所管・法執行行政機関による連携強化
- ・現下の物価動向の反映や荷待ち・荷役の対価等の加算による「標準的な運賃」の引き上げ(年度内に対応予定)
- ・適正な運賃の収受、賃上げ等に向け、次期通常国会での法制化を推進
- ・大手荷主・物流事業者の荷待ちや荷役時間の短縮に向けた計画作成の義務付け、主務大臣による指導
- ・勧告・命令等・大手荷主に対する物流経営責任者の選任の義務付け
- ・トラック事業における多重下請け構造の是正に向け下請状況を明らかにする実運送体制管理簿の作成、契約時の(電子)書面交付の義務付け