ワンポイント

その8 労働組合と株式代表訴訟

 労働組合も株主になることができる。その一例を紹介する。

 腕時計などで有名な「セイコー」のグループ会社「銀座和光」で任期途中の役員辞任が頻発した。労働組合が監査請求を行ったところ、親会社の名誉会長に気に入られた取締役によるパワハラの実態が明らかになった。組合はパワハラが会社に損害を与えたとして株主代表訴訟の提起を会社に請求、それを恐れた会社が名誉会長と和光の取締役を解任、組合が訴訟を起こす前に解決した2010年の事件が有名である。

 株主代表訴訟の要件は、6か月以上前から1株以上の株式を保有する株主は、会社に損害を与えた役員に対して、責任を追及する訴訟を起こせと文書で会社に請求する。会社が60日以内に訴訟を起こさないときは、株主は会社に代わって訴訟を提起できる。

 会社や親会社の株式を取得することは、会社に対する武器のひとつになる。