ワンポイント

その5 転籍を拒否した場合の不利益は?

 事業の全部を譲渡する場合、譲渡会社の解散や事業縮小にともなって残された従業員も解雇される可能性が高い。しかし、いずれの理由によるものでも「整理解雇の4要件」をクリアする必要がある(その9参照)。

 また、これとは逆に、転籍希望者の一部について譲受会社が受け入れを拒否する場合がある。組合役員に対する狙い撃ちのような例を除けば、譲受会社は選別することが認められている。

 解雇は極端な例であるが、元の会社に残った場合は配転などの可能性もある。配転命令が使用者による権利の濫用と認められない限り、人事権にもとづく命令として比較的広く裁量が認められていて有効とされる可能性も高い。会社に残るかどうかは、このような可能性も考慮して慎重に決定すべきといえる。