ワンポイント

その2 新設合併の場合

 組合がある企業2社の新設合併の場合を考えてみる。

 親会社の方針にもとづき、A運輸とX物流の合併によるβトランスポートが設立された。人員整理は発生しないが、労働条件の見直しが組合に申し入れられた。

 この場合、新設会社には労働条件の違う2つのグループが存在することになり、企業としては労働条件を統一しようとする。好条件に合わせようとすればいいが、低い方に合わせようとする傾向が強く、紛争になりやすい。

 組合としては、合併の場合は労働条件が当然に引き継がれるので、引き下げ提案を受け入れる法的義務がないことを主張すべきである。そのうえで、会社提案が合理的で、組合として受け入れ可能なものかを検討すべきである。

 この場合は労働組合の合併も課題となる。2つの組合が並存しても法的には問題ない。それぞれの労働協約も新設会社に引き継がれる。しかし、話し合いによる組合合併の検討が望ましい。