2012年度賃金・労働条件実態調査報告書の発刊にあたり

  2011年3月11日に発生した東日本大震災から1年9カ月が経とうとしています。日本経済は、欧州債務危機や超円高水準の継続など、海外経済リスクがあるものの、復興にともなう需要増加により業績を回復する企業が増加したことを受けて、2012年1〜3月期のGDPは1.3%プラスとなり、4〜6月においても0.1%のプラス成長となりました。
 トラック運輸も、震災の影響で前年同期と比較して輸送量が急減しましたが、2011年下期に増加に転じて以降、2012年上期には2%台の堅調な伸びで推移し、2012年全体でも前年比プラスが見込まれています。
 今回の調査は、149単組(97,557人)のご協力をいただきました。本冊子には、賃金・労働条件実態調査の結果を中心に、春闘解決調査の結果も一部収録しました。
 本年の調査結果では、月額賃金(2012年6月)は加重平均(以下同様)で361,393円(前年比1.6%増)となり、5,658円の増額となりました。その内訳は、所定内賃金は前年と比べて47円の減額、仕事給も4,942円の増額、所定外は763円の増額となっています。また、労働時間は207.5時間で、近年のピークである2006年(220.9時間)より約6%減少した水準となっています。
 一方で、2011年の年間賃金は5,257,804円で、前年を24,403円下回りました。しかし、年間総労働時間は2,505時間(前年2,446時間)となっており、前年より増加しています。
 職種別の賃金実態をみると、本年も事務職と比較して運転職の賃金総額に占める所定内賃金の割合が低くなっており、男子事務職の所定内賃金比率80.0%(総額賃金403,875円)に対し、男子大型運転職は46.0%(同389,202円)となっています。
 また、平均年齢は、本年も前年を上回りました。厚生労働省の2011年賃金構造基本統計調査による産業全体の平均年齢は41.5歳で、道路貨物運送業は44.6歳と、平均で3.1歳の差があります。2004年水準と比較しても、産業全体が40.7歳だったのに対し、道路貨物運送業は41.7歳と、平均年齢の格差が拡大しています。運転免許新規取得者の減少が続く中で、ドライバーの平均年齢の上昇スピードは産業全体より速まっており、近い将来の高年齢化と要員不足の深刻化が懸念されます。組合員の働きがいはもとより、魅力のある産業の実現のためにも、「賃金や一時金の引き上げ」、「賃金制度の確立・改善」、「企業内最低賃金協定の締結」、「雇用延長制度の確立・改善」、「総労働時間の短縮や割増率の引き上げ」などが求められています。
 このような労働条件を改善させ、働くものの雇用の安定、生活向上を図るのが労働組合の役割であり、春季生活闘争はそのための運動(手段)の一つでもあります。来るべき2013春季生活闘争の取り組みにあたり本資料を参考にしていただければ幸いです。
 終わりにあたりまして、多忙の中、本資料の作成にご協力いただきました、単組および地連・都府県連の皆さんにお礼申し上げ、報告とします。

運輸労連 中央本部 労働政策部