中央執行委員長
成田幸隆 |

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職場最前線で働く組合員に
「伝わる運動」を!
この2年間多くの課題に向き合ってきましたが、あっという間であったと感じています。自然災害については、「令和6年能登半島地震」をはじめ、トカラ列島近海での地震や記録的な大雨など、近年、自然災害が頻発しています。運輸労連では昨年、運輸労連版の「愛のカンパ」を創設して、被災者に機敏かつ公平に支給できるよう対応しています。
次に、最近の政治状況です。アメリカのトランプ大統領が1月に就任し、選挙戦で掲げたロシアとウクライナの終戦仲介はむしろ戦況悪化の様相を呈しています。イスラエルとイランの停戦についても、軍事力での抑え込みがまかり通る世界は危険だと感じています。日本は戦後80年を迎えましたが、いまだに戦争の爪痕に苦しむ人々がいます。今こそ「平和の尊さ」を考える重要な時期にきていると考えます。
こうした中、日本では6月22日に通常国会が閉幕。政治の混乱の中でも、野党が共同提出した、物流業界の長年の懸案である「ガソリンの暫定税率廃止」については、参議院で採決されず廃案となりましたが、次の臨時国会での実現を強く要請したいと考えています。一方、事業法改正と新法はタイトなスケジュールの中ではありましたが、参議院で成立できました。今後は国土交通省や全日本トラック協会と連携し、実のある制度とするため尽力していきます。
2025年春季生活闘争では、昨年を上回る賃上げ要求(15,500円中心)に挑みました。燃油費の高止まりや貨物総輸送量の減少など、依然として厳しい経営環境の中、多くの労使で真摯な交渉を行っていただき、過去30年で最高の解決額となりました。来年以降も継続した賃上げが必要であり、本定期大会での十分な議論をお願いします。
「物流の2024年問題」については、物流が止まるという事態には至っていませんが、問題が解決したわけではありません。今後は、トラックドライバーの担い手不足により、何もしなければ2030年には輸送能力が34%不足するとされる「2030年問題」も見据え、物流の危機的状況を共有化していく必要があります。業界を変えていくためには、真面目にルールを守っている事業者が報われ、その働きの価値が正当に評価されることが不可欠です。トラック運送は、社会インフラとして人々の生活と命を預かっているという「価値」を引き続き訴え続けていきます。
組織強化・拡大についても、地連・都府県連と一体となり、向こう2年間で結果を出していかなければいけません。ジェンダー平等の推進については、運輸労連における女性組合員の割合は14.2%と増加傾向にあるものの、まだ十分ではありません。今年度がジェンダー推進計画の最終年です。中央本部、地連・都府県連、単組が連携し、より積極的な取り組みを進めてまいります。
2年前の就任時に「伝える」ことと「伝わる」ことの違いを申し上げました。これからも、職場最前線で働く組合員にしっかり「伝わる運動」をしたいと考えています。皆さまの熱心な討論によって2年間の運動方針が決定されることを願い、ご挨拶とさせていただきます。
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