運輸労連は12月6日(金)、第55回運輸セミナーを開催(全日通霞が関ビルからWEB配信)し、全国から221名が参加(うち女性11名、女性参加率4.98%)が参加し、2025春季生活闘争に向けての情報と認識を共有しました。
開会のあいさつでは、成田中央執行委員長が登壇。冒頭、2024年の能登半島地震・豪雨の被災者へ哀悼の意を表すとともに、一刻も早い復興を祈念しました。さらに、防災・減災の取り組みを進める必要性を組合員に周知するよう呼びかけました。
一方で、アメリカ大統領選挙でトランプ氏が再選し、来年1月から大統領に就任することについて、「アメリカファーストの矛先が同盟国日本にも向けられています」と指摘。政府に対し、粘り強く日本の立場を説明していくよう求めました。国内政治では、石破政権の発足とともに実施された衆議院選挙で、大幅に議席を増やした立憲民主党に対し「(自民党と)2強の一角として、国会運営の中で政権与党と堂々と渡り合い『政権を担える力』を国民に見せてほしい」と期待を述べました。
また「2024年問題」(2024年4月からトラックの時間外労働上限規制年960時間の適用、改正改善基準告示の適用)については「2024年も1ヵ月を切りましたが、課題解消に向け少しずつ動き出している状況で、まだまだ色々な面で強化が必要」と総括。トラックドライバーの賃上げや物流効率化をめざした規制強化が進められる中、「物流の価値を再認識し、適正料金・運賃を収受していくことが業界全体の労働環境の改善につながります」と強調しました。
そして、現下の社会情勢を踏まえた2025春季生活闘争方針では、統一要求基準を、ベースとなる賃金に定期昇給(相当)分1.5%と賃金改善分(含:格差是正分・物価上昇分)としての4.5%を加えた6.0%を乗じた「1万5,500円中心」とする構想が示されました。物事の安定を表す乙巳(きのとみ)の年に当たる2025年は「物流改革や働き方改革を確かなものにしていく重要な年」と位置付け、「引き続き、ベクトルを同じくして運動を進めて行きましょう」とあいさつを締め括りました。
その後セミナーの第1講演は、日本労働組合総連合会総合政策推進局・総合局長の仁平章氏による「連合2025 春季生活闘争方針」について。仁平氏は、2023年春季生活闘争は「転換点」、2024年は「ステージ転換に向けた大きな一歩」だったとしたうえで、2025年は「経済社会の新たなステージを定着させるべく、全力で賃上げに取り組み、社会全体への波及をめざす」と述べました。
続く第2講演は、立教大学経済学部教授の首藤若菜氏による「物流『2024 年問題』の現状と課題〜労働組合の役割は何か〜」について。講演では2024年問題の影響として、労働時間の短縮が生産性の向上に励む契機となっている業界の事例などについて解説していただきました。以上の2つの講演をもって、第55回運輸セミナーは終了しました。
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