運輸労連は12月7日(木)、第54回運輸セミナーを開催(全日通霞が関ビルからWEB配信)。全国から253名が参加(うち女性9名、女性参加率3.6%)し、2024春季生活闘争に向けての情報と認識を共有しました。
開会あいさつでは、成田中央執行委員長が登壇。冒頭、長期化するロシアによるウクライナ侵攻とイスラエルとパレスチナ・ガザでの大規模な武力衝突に対し、「一刻も早く戦争や衝突が終結し、再び平和な世界に戻ることを祈ります」と述べました。一方で、日本の政治状況については、内閣の求心力の低下を指摘。立憲民主党には、「野党第1党として日本経済を強くするための具体的な道筋を示し、緊張感のある、私たちの思いが伝わる政治を望みます」と期待感を示しました。そして、今後の選挙では、運輸労連の推薦するすべて候補者の必勝に向けて全力で取り組むことを呼びかけました。
また、「2024年問題」(2024年4月からトラックの時間外労働上限規制年960時間の適用、改正改善基準告示の適用)については、「いよいよ労働時間の長さに依存しない本格的な賃金制度へと移行する時期にきています」と強調。適正な取引環境を整備していくためには、社会全体の理解や意識改革に向けた積極的な周知が必要だとしました。他方で、政府でも「物流革新に向けた政策パッケージ」など、これまでにない速さで取り組みが進んでいることについては、「この機を逃してはなりません」とし、「引き続き、労働条件の向上と労働環境の改善、そして物流に対する社会からの評価(満足度)を引き上げていければ、個々人のモチベーションの向上につながります。ひいては、若い人たちに選ばれる産業になっていくものと考えます」と主張しました。
そして、これらの社会情勢を踏まえた2024春季生活闘争方針では、統一要求基準を、所定内労働時間賃金に定期昇給(相当)分1.5%と賃金改善分としての4.5%を加えた6.0%を乗じた「1万5,000円中心」とする構想が示されました。最後に、運輸業界のさらなる発展に向けて、2024年も「力強い龍のようにエネルギッシュに頑張りましょう」とあいさつを締め括りました。
その後、セミナーの第1講演は、全日本トラック協会理事長の若林陽介氏による「物流の2024年問題について」。講演では、運輸業界の現状やドライバーの働き方改革に向けた荷主企業・団体の取り組み事例などについて解説していただきました。続く第2講演は、日本労働組合総連合会総合政策推進局・総合局長の仁平章氏による「連合2024春季生活闘争方針」について。仁平氏は、「2024春季生活闘争は、経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へとステージ転換を図る正念場」と述べ、賃上げについては「昨年を上回る取り組みの強化が必要」だとまとめました。以上の2つの講演をもって、第54回運輸セミナーは終了しました。
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