運輸労連議員懇メンバーの小沢雅仁参議院議員が
「物流業界における2024年問題(物流クライシス)」について質疑


2023年3月1日、参議院予算委員会

 運輸労連政策推進議員懇談会メンバーの小沢雅仁参議院議員(比例)が3月1日(水)、参議院予算委員会において「2024年問題への対応」に関する質疑を行いました。

小沢雅仁参議院議員: 中小企業における価格転嫁の状況の中で、トラック運送業界は27位と低位におかれている。物流業界は慢性的な人手不足などが大きな課題になっており、来年4月から時間外労働の上限規制、年960時間が導入されることにより、物流クライシスが起きるのではないかという強い懸念がされており、いわゆる「2024年問題」への対応が喫緊の課題となっている。ドライバーの労働条件を改善するために、運賃交渉力の弱い運送事業者の適正な運賃収受を是非とも支援していただきたい。また、その指標となる「標準的な運賃」の届出率は約5割程度となっており、ドライバーの賃金水準の向上は道半ばとなっている。このような状況におかれているトラック運輸業界について、岸田総理はどのように受け止め、改善されようとしているのか伺いたい。

岸田文雄内閣総理大臣:トラック運輸産業は、国内貨物輸送量の大部分を担っており、我が国の経済や国民生活を支える存在であると認識している。一方、トラック運輸産業は、価格交渉や価格転嫁が進んでいないこと、また、ドライバーが他産業と比較して労働時間が長く低賃金であること等を背景に、担い手不足となっていること、来年4月から時間外労働の上限規制が適用されることなどにより、今後物流の停滞が懸念されると認識している。このため、適正な運賃を収受できる環境を整備するとともに、ドライバーの労働条件を改善し、魅力ある職場づくりを行うことが急務であると認識している。

小沢雅仁参議院議員:ドライバーの労働条件が非常に低位におかれている状況を国土交通大臣はどのように受け止められているか。

斉藤鉄夫国土交通大臣:トラック運輸産業は、他の産業と比較して労働時間が長く低賃金にあることから、荷主等の協力の下、荷待ち時間の削減や適正な運賃を収受できる環境を整備することが非常に重要であると考えている。平成30年に改正された「貨物自動車運送事業法」に基づき、適正な取引を阻害する疑いのある荷主等に対する働きかけや要請、「標準的な運賃」の周知・浸透などに取り組んでいる。また、来年4月からは、トラックドライバーに対して時間外労働の上限規制が適用されることから、円滑な施行に向け、関係省庁と連携して取り組んでいく。国土交通省として、こうした取り組みを通じ、トラック運送業における働き方改革と適正な運賃収受、賃金の上昇という環境整備を図りたい。

小沢雅仁参議院議員:「標準的な運賃」制度は来年3月末までの時限措置であり、引き続き、適正な価格転嫁を促す取り組みをつなげるために、制度の延長が必要と考えるが、国土交通大臣の見解をお伺いしたい。

斉藤鉄夫国土交通大臣:「標準的な運賃」はいまだ事業者による活用や荷主への理解の浸透が十分とは言えず、引き続き適正な運賃収受に向けた環境整備が必要な状況にあると考えている。国土交通省として、引き続き「標準的な運賃」の活用に向けて荷主等への理解と協力を呼びかけるとともに、時限措置の延長等の所要の措置についても、関係者の声を伺いながら議論を深め、取り組んでいきたい。

小沢雅仁参議院議員:それは、前向きに捉えていただいているということでよろしいか。もう一度その部分をお伺いしたい。

斉藤鉄夫国土交通大臣:前向きに検討していきたい。

小沢雅仁参議院議員:国民の命と暮らしを守るために、トラック運輸産業は極めて重要であり、物流クライシスを絶対に起こしてはいけないということが非常に大きな課題である。政府を挙げて様々な緊急対策を講じる必要があると思うが、岸田総理の考えと決意をお伺いしたい。

岸田文雄内閣総理大臣:「2024年問題」の解決に向け、政府として迅速に対応する必要があると考えている。このため、政府として適正な取り引きを阻害する行為を是正するため、荷主に対し関係法令に基づく要請等を行うとともに、物流DXやモーダルシフトなど輸送効率化などに取り組んでいる。 さらに現在、荷主の更なる取り組みを促すため、不適切な商慣行の是正に向けた規制的措置等の導入に向け、国交省、経産省、農水省で連携し、適正な取引の実現に向けた対応を加速している。こうした取り組みを積極的に進め、「2024年問題」の解決に向け、関係省庁で一層緊密に連携し、政府全体でスピード感を持って取り組んでいきたいと考えている。

小沢雅仁参議院議員:是非ともスピード感を持って、政府を挙げてしっかりと取り組み、改めて強く御要請をさせていただきたい。


岸田総理大臣が小沢議員の質疑に対し答弁

小沢参議院議員が「2024年問題への対応」について
総理大臣、国交相へ質す
   



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