運輸労連は10月13日(木)、「第52回運輸問題研究集会」を開催(東京・全日通霞が関ビルからWEB配信)。全国から330名が参加し、運動方針の強化と推進に向けて議論しました。
主催者あいさつでは、難波中央執行委員長が登壇。運輸産業の構造と労働環境が大きく変貌した平成の30年間を振り返りました。とりわけ、この9月に取りまとめられた「改善基準告示の見直し」については、「思い返せば2015年、改善基準告示の上限時間短縮について意見を交わしたこの運輸問題研究集会から、議論が始まりました」と回顧。その後の「働き方改革」(2016年)を発端とし、総力を結集した「請願署名運動」(2017年〜2018年)、そして「事業法の一部改正」(2018年)と並び、今回の25年ぶりの改善基準告示の改正も大きな成果であると強調しました。
しかし、こうした進展を背景に、若者が集まる魅力的な産業をめざす一方で、長時間労働と低賃金が続く厳しい現場実態も指摘。その解決に向けて、「標準的な運賃」(2024年3月末までの時限措置)を例に挙げ、「期限が迫る中、届出は全事業者の5割弱(2022年8月末現在)に留まっています。コロナ禍による荷主企業の経営状況もあり、運賃・料金の交渉が困難であることも理解はできます。しかし、労使で協働しながら行動を起こしていかなければなりません」と呼びかけました。そして、「半世紀前、日本の物流の主役が鉄道からトラックに変わろうとする時代から、先人の想いは労働条件の改善にありました。連綿と続くこの想いを忘れてはなりません。その想いを一歩ずつ進め、将来世代に物流システムをつないでいくための議論をお願いします」と、あいさつを締めくくりました。
続く講演では、桝野龍二氏(公益社団法人全日本トラック協会 理事長)による第1講演「トラック運輸産業を取り巻く諸課題とその対応について」、そして世永中央副執行委員長による第2講演「改善基準告示の見直しへの対応について」を受講。直面する課題への理解を深めた後、杉山中央書記長が問題提起を行い、分科会討議に移りました。
2つのテーマに分かれての分科会では、第1分科会が「働き方改革への対応と組織の強化に向けて」(労働政策・組織)。第2分科会が「当面する政策課題への対応について」(産業政策)。第1分科会には、運輸労連顧問弁護士の五百蔵洋一氏にご臨席いただき、現場で発生している問題に法律の観点からアドバイスをいただきました。両分科会における活発な議論でトラック運輸産業全体の課題を広く共有し、本集会は終了しました。
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