運輸労連第55回定期大会 7月7日〜8日 東京・浅草公会堂で開催

2022年度(中間年)運動方針を決定
「物流を止めない」ために最優先されるべきは
トラック運輸産業に人財を呼び戻すこと

 運輸労連は7月7日(木)〜8日(金)の2日間、東京・浅草公会堂にて「第55回定期大会」を開催。WEBも併用しての3年ぶりの対面開催となった本大会には、代議員・オブザーバーほか、全国から394名(うち女性28名、女性参画率7.1%)が出席しました。
 大会は森下中央副執行委員長が力強く開会を宣言し、難波中央執行委員長のあいさつ(下記参照)でスタート。会場には、連合・芳野会長をはじめ、交運労協・住野議長、立憲民主党・近藤企業・団体交流委員会顧問、全国労働金庫協会・松迫副理事長、中央労働金庫・林常務理事、こくみん共済coop・濱田常務理事、運輸労連顧問・赤松広隆氏(前衆議院副議長)ほか、ご来賓にご臨席を賜りました。
 来賓あいさつでは連合・芳野会長から、「感染症が発生して2年以上、見えない感染リスクと戦いながら懸命に社会の基盤を支えていただいた」と、トラックドライバーに対する感謝が述べられました。また、この間に露呈した雇用への影響やセーフティネットの脆弱性に対しては、「労働組合が力の基盤。運動を積み重ね、すべての働く仲間を守りたい」と強調。併せて、「必ず側にいる存在として、安心・安全な社会へ向けて果敢に挑戦していきましょう」と呼びかけました。来賓あいさつに続いて、第26回参議院議員通常選挙の比例代表推薦候補者(代理含む)から決意表明のあいさつをいただきました。
 議事では、杉山中央書記長が「2021年度一般経過報告」および第1号議案「2022年度(中間年)運動方針」を提案。この報告と提案に対して11名の代議員から質疑・要望が出され、大会1日目が終了しました。
 大会2日目、議事を再開し、「2021年度決算報告・会計監査報告」を承認。前日の質疑・要望に中央本部の各担当役員が答弁し、満場一致で一般経過報告・第1号議案を承認・可決しました。続いて、小畑中央副執行委員長が第2号議案「2022年度一般会計予算ならびに特別会計」を提案。こちらも満場一致で可決しました。
 次に、「第26回参議院議員通常選挙必勝決議(案)」と「スローガン」を採択し、続いて特別中央執行委員を確認。その後、狩屋中央副執行委員長が大会直後の選挙戦を睨み、「政治が変われば社会が変わる。絶対に棄権することがないように」と閉会のあいさつをし、最後に難波中央執行委員長の発声による「団結ガンバロー三唱」で、第55回定期大会は閉会しました。


<スローガン>
構築しよう!
産業の価値に見合った賃金労働条件
進めよう!
物流諸課題に対応する産業政策
めざそう!
若者が夢と誇りをもてる魅力ある産業



委員長あいさつ(要旨)


中央執行委員長
難波淳介

人財の集まる魅力的な産業を確立し
将来世代へ引き継いでいこう!


 自然災害が相次いでおり、大会目前の6月20日には、能登半島で震度6弱の地震がありました。被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 私たちは、災害が発生すれば緊急物資を運ぶ側である一方、被災者として支援物資を受け取る側になることも想定しておかなければなりません。11年前の東日本大震災の記憶を風化させることなく、今一度、防災・減災への意識と心構えを仲間の皆さんと確認したいと思います。
 今回、WEBを併用した3年ぶりの対面開催となりましたが、この間に世界の状況は大きく変わりました。100年に1度と言われる新型コロナウイルス感染症のパンデミック、そしてロシアによるウクライナ侵略と、私たちはこれまでの常識が通用しない世界を生きています。
 このような状況下、世界的な視点で物流事情をみてみると、米英では混乱が起きています。いずれもトラックドライバー不足を背景としたもので、荷物はあっても運べない状況が今後も続くことが予想されています。私たちは、この両国の物流事情を対岸の火事として見過ごすことはできません。なぜなら、厳しい労働条件や低賃金によって、日本でも物流人財の不足が続いているからです。今こそ、物流を止めないために最優先されるべきは人財を呼び戻すことです。賃金・労働条件で他産業との格差是正を実現し、魅力的な産業に変身していかなければなりません。そのために、トラック運輸産業の必要性・重要性の認知度を高め、適正な運賃・料金を収受し、これを原資に働きの価値に見合った賃金水準となるよう、引き続き運動を進めていきたいと考えています。
 その支えともなる「荷主対策の深度化」や「標準的な運賃」(ともに2024年3月末までの時限措置)を活用しながら、旧来の取引環境や商慣行の見直しに向けた交渉を進めていきましょう。そして何より、私たちの抱える課題の解決には、物流を利用するすべての方に、物流コストを「自分事ごと」として考えていただく必要があります。さまざまな商品値上げの理由にあげられている物流コストの上昇ですが、その背景にはトラックドライバーの賃金・労働条件改善も含まれていることを、あらゆる機会を捉えて広く訴えてまいります。
 将来を展望すれば、物流は今まで以上に重要性を帯びてくることは紛れもない事実です。人財が集まってくるような労働環境の整備と確立に向けて、厳しい環境に置かれている今だからこそ、トラック運輸産業を将来世代へ引き継いでいくために声をあげていきましょう。それが、今を生きる私たちの責任だと考えます。

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