運輸労連議員懇メンバーの松田功衆議院議員が
自転車通行空間の整備状況や中食デリバリーの危険運転に対する行政対応を質す


 

 運輸労連政策推進議員懇談会メンバーの松田功衆議院議員(比例東海)が、3月10日(水)国土交通委員会において、運輸労連が取り組んだ「自転車および中食デリバリーの危険走行に関するドライバーアンケート」の結果に鑑み、「自転車の活用推進と道路利用者全体の安全性確保」「中食(フード)デリバリーの危険運転等に対する行政対応」に関する質疑を行いました。

◆「自転車の活用推進と道路利用者全体の安全性確保」に関する質疑
 松田議員から「自転車通行空間は、令和2年3月31日現在、整備されている2,930キロののうち2,150キロ、約73%が車道の左端に矢羽根マークや自転車マークが付されているだけの車道混在型となっているが、自転車の危険はもちろん、トラック等の自動車も、右側の対向車と左側の自転車に気をつけながら、かなり慎重な運転を強いられている。このような状況を踏まえ、現在の自転車通行空間の整備状況について見解をいただきたい。また、通行ルールについてどのような周知を行っているのか説明いただきたい」との質問に対し、
 国土交通省から、「自転車通行空間の整備形態は、自動車の速度や交通量などを勘案して検討しており、車道混在の形態は、自動車の速度が低く交通量が少ない場合や、他の整備形態が当面困難であるが自転車の安全性を速やかに向上させなければならない場合に採用している。他の整備形態が当面困難であるための車道混在形態については、自転車道や自転車専用通行帯の整備の検討が必要と考えている。道路空間の再編も含め、ガイドラインの趣旨を踏まえた安全で快適な自転車通行空間の確保がなされるよう、各整備主体に働きかけていきたい」との答弁がありました。
 また、警察庁から、「自転車と自動車を混在通行とする道路に設置される矢羽根型路面表示等は、自転車の通行位置を示し、自動車運転者に対し自転車の車道通行を注意喚起するためのものである。混在通行に関する交通ルールについて、自転車利用者に対しては、関係機関等と連携しつつ、街頭における広報啓発や交通安全教育等を通じた周知を行っている。また、自動車運転者に対しては、普通免許を取得する際、自動車教習所において、自転車専用通行帯に関する教習等を実施している。交通ルールの周知を図り、自転車の安全利用を促進していきたい」との答弁がありました。
 さらには、赤羽国土交通大臣から、「東日本大震災の時の帰宅困難や、今般のコロナ禍を契機に自転車利用の頻度が高まってきており、指摘の問題を含め様々な課題が顕在化している。現在、次期『自転車活用推進計画』を検討しているところだが、国交省を中心に、関係省庁と連携し、歩行者、自転車、自動車の交通安全の確保に向け適切に分離された通行空間の整備や、自転車利用者を含めた交通安全ルールの徹底など、歩行者、自転車、自動車が適切に共存共栄できるよう取り組みを進めていきたい。」との答弁がありました。

◆「中食(フード)デリバリーの危険運転等に対する行政対応」に関する質疑
 松田議員から「自転車によるフードデリバリーは、貨物自動車運送事業法の適用外となるが、荷物を運んで事業を行っている。配達員は、より多くの収入を得るために少しでも早く届けることだけに注力していると思われ、運営会社も運送事業を行っている自覚がないと思われる。国土交通省としてどう関わっていくか、見解を示されたい。また、個人事業主である配達員に対する運営会社による安全指導のあり方について、厚生労働省の見解を示されたい。加えて、交通事故死者数のうち自転車乗用中死者数の構成比率が上昇傾向にあり、フードデリバリーの増加との関連があると思われるが、警察庁の見解を示されたい」との質問に対し、
 国土交通省から、「指摘の安全問題については、増加しているものと見ている。現在、事業者が自主的に安全に対する取り組みを検討していると聞いており、注視しながら取り組んでいきたいと思っている」との答弁がありました。 厚生労働省からは、「指摘のフードデリバリーサービス配達員は、必ずしも労働者でない場合もあるが、配達員の事故防止が課題となっていることを踏まえ、昨年10月に、国土交通省、警察庁等の関係省庁と連携し、飲食店関係の業界団体に対して配達員の事故防止のための取り組みを要請しているところである。引き続き、関係省庁と連携してこの周知を図っていきたいと考えている」との答弁がありました。
 警察庁からは、「令和2年中の自転車関連事故は、全体の件数が前年比で15.9%減少の約68,000件である一方、業務運転中の事故件数は3.6%増加の1,281件となっており、自転車を用いた業務運転中の交通事故の状況については注視していく必要がある。厚生労働省からの答弁にあるように、警察庁としても関係省庁と連携し、関係団体に対して各事業者における配達員に対する交通ルールの周知や注意喚起等について協力を依頼したところである。また、都道府県警察においては、事業者に対する申入れ等を行い、自転車の通行方法等について配達員へ注意喚起するための自転車安全講習会の開催などの安全対策を実施している。本年2月には業界団体が設立され、今後、交通ルールの遵守も含む諸課題に業界全体で取り組んでいくものと承知しており、警察としては、関係団体等とも連携し、関係事業者などに対する交通安全の働きかけ、自転車配達員への街頭における指導啓発、配達を委託する飲食店等に対する協力依頼等の対策を推進し、業務運転中の自転車の安全利用を促進していく」との答弁がありました。

  最後に、松田議員より、「働く皆さんの安全や交通安全に向けて取り組んでいただき、今後とも安心して暮らせる社会づくりを目指していただきたい」と述べられました。


   

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