運輸労連は12月6日(金)、全日通霞が関ビルにおいて第50回運輸セミナーを開催。全国から215名が参加し、2020春季生活闘争に向けた認識や情報の共有化を図りました。
セミナーは難波中央執行委員長の主催者あいさつで開会。冒頭、この夏の相次ぐ台風・豪雨で被災された方々へのお見舞いが述べられました。また、被災者支援に向けた緊急カンパにご協力いただいている地連・都府県連、すべての加盟組合の仲間やご家族に対し感謝を述べるとともに、今後も運輸労連としてさまざまな形で被災地の復旧・復興を支援していくことを確認しました。
続いて2020春闘について、「現在の慢性的なドライバー不足の状況が続けば、トラックドライバーは絶滅危惧職種となってしまう。全産業平均と比較して、2割長く働いていながら2割低い賃金実態を改善し、産業間格差を是正しなければならない」とし、賃金・労働条件引き上げの必要性を訴えました。
一方、2018年12月に成立した貨物自動車運送事業法の一部改正に触れ、全日本トラック協会と運輸労連、トラック運輸産業という大きな枠組みにおける労使が共闘し、それぞれ与野党に対応した成果であったと評価。「アプローチの手法は異なるが、産業課題の解決という労使が共通してめざすべき方向はぶれない。健全な労使関係が健全経営を生み出し、健康的な産業への転換を可能とする。まさに、労働組合の有無がホワイト経営の条件であると主張していきたい」とし、超少子高齢化・AI化に向かうこれからの時代に適応できる、新たな労働組合のあり方・存在意義の構築を図りたいとの考えを示しました。
難波中央執行委員長のあいさつのあと、セミナーの第1講演は日本労働組合総連合会総合政策推進局・労働条件局局長の藤川慎一氏による「連合2020春季生活闘争の取り組み」について。藤川氏は経済の自律的成長と社会の持続性の実現に不可欠な分配構造の転換につなげる、中小組合・非正規労働者・未組織労働者も含めた「すべての労働者の賃上げ」こそ、連合2020春季生活闘争の目的であり意義であると解説しました。
第2講演は、立教大学経済学部教授・労働経済論担当の首藤若菜氏による「物流危機と労使協議」。講義の中で首藤氏は「トラック物流は社会を成立させるために不可欠な存在」と定義。だからこそ、低賃金・長時間労働という今の実態を、競争原理・市場原理に基づく「自己責任論」だけで説明することはできないとの考えを示しました。
以上の2講演をもって、第50回運輸セミナーは終了しました。 |