運輸労連は1月8日(火)、東京・全日通霞が関ビルにおいて「2019新春交歓会」を開催。連合をはじめ、立憲民主党、国土交通省、全日本トラック協会、関係団体など各界の関係者約230名が一堂に会しました。
難波中央執行委員長は主催者あいさつで、「昨年は『働き方改革』に始まり『貨物自動車運送事業法の一部改正』で幕を閉じた転換点の年だった」と回顧。2019年は「次の時代に取り組むべきことを考え、具体化に向けて動き出す年にしたい」と抱負が語られました。
来賓あいさつでは、連合・神津会長から「すべての働く者の底上げのため、古い常識が支配する取引環境・慣行の是正に着手していく」考えが述べられました。また、立憲民主党・枝野代表は「競争を加速させれば昭和の右肩上がりに回帰するという幻想。そのしわ寄せを受けるドライバーの皆さんが、安心して働ける社会を作っていきたい」と決意を表明しました。続く国土交通省・奥田自動車局長は「働き方改革に不可欠な荷主の理解を得ながら、ホワイト物流の推進体制を構築していきたい」、全日本トラック協会・坂本会長は「事業法の一部改正を契機に、トラックドライバーが誇りを持って働ける業界にしたい」と、それぞれあいさつをいただきました。
その後、燒中央副執行委員長の発声で乾杯。出席者が懇談した後、狩屋中央副執行委員長が閉会あいさつを行い、2019新春交歓会は終了しました。
●主催者あいさつ(要旨)
対症療法的な対策が限界にきているからこそ
組織の壁を越えた働きかけが必要
中央執行委員長 難波 淳介
トラック運輸産業は物流の9割を担い、経済と社会を支えるインフラ・ライフラインです。多発する昨今の自然災害では、被災地への支援物資輸送でも力を発揮し、私たちトラックの重要性と認知度はますます高まっています。しかし、残念ながら「送料無料」の表記はなかなか無くなりません。まずは、「送料弊社負担」「送料別」のような適正表現をお願いしていくことがトラックの価値を高めることにつながっていくと思います。
また、労働環境を新たな時代の要請に応じたスタイルに変えていくことも、トラックの魅力と価値を高めるために重要です。物流二法(1990年)の施行以来、行き過ぎた規制緩和によって過当競争が激化し、トラック運輸産業が疲弊する中で、対症療法的な対策は限界にきています。
そこで中期的な対策として、長時間労働を是正しても賃金水準が下がらない賃金制度へと変えていくこと。また、長時間労働に起因する過労死防止に取り組み、労働災害ゼロの職場作りに取り組むことが欠かせません。そのための原資となるものが、公正な競争による適正運賃・料金の収受にあります。昨年末には貨物自動車運送事業法の一部が改正し、ドライバーの労働条件の改善に向けた環境が整備されつつあります。これを「安全・安心・安定」、そして「信頼」の物流システムを構築するための契機としなければなりません。
物流システムは真荷主や元請け・下請けなど企業群という多層構造で支えられています。だからこそ、魅力ある運輸産業を構築するためには、いくつもの組織の壁を越えていく必要があります。そのための行動を起こす起点の年とし、不断の運動を進めて参りたいと思います。
さらに平成の30年を経て、「立場に関わらずお互いを思いやる気持ちを忘れない、そして思いやりを置き去りにしない社会・組織」をめざして、本年も邁進して参ります。
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