運輸労連第50回定期大会 7月6日〜7日 滋賀県・大津市で開催

2017〜2018年度運動方針を決定
自動車運転者に改正労働基準法の時間外上限規制の一般則適用を求める決議を採択

 運輸労連は7月6日(木)〜7日(金)の2日間、滋賀県大津市・大津市民会館において「第50回定期大会」を開催。代議員・オブザーバーほか、約750名が参加しました。
 第50回定期大会には、連合・逢見事務局長をはじめ、民進党・近藤副代表、交運労協・住野議長、交通労連・山口中央執行委員長、三日月滋賀県知事、越大津市長、全国労働金庫協会・吉田副理事長、全労済・阿部田常務執行役員、運輸労連顧問・赤松衆議院議員ほか多数のご来賓の方々にご臨席を賜りました。
 来賓あいさつで連合・逢見事務局長は、「働き方改革実現会議では、私たちの意見が十分に反映されず、自動車運転者は5年の猶予期間・年960時間以内の上限規制が適用されることに関しては非常に残念」との見解を述べ、運輸労連が求める自動車運転者への年720時間以内という一般則の適用を求める取り組みに対し、連合として全面的にサポートする考えを示しました。
 大会議事では、「一般経過報告」および第1号議案「2017〜2018年度運動方針」、第2号議案「規約・規程の一部改正」、第3号議案「2017年度一般会計予算ならびに特別会計」、第4号議案「役員選出」を提案。その後、第2号議案の投票結果が議長から報告し、可決が確認されました。続いて、運動方針案などに対して14名の代議員から質疑・要望があり、1日目の議事は終了しました。
 大会2日目は、前日の一般経過報告、2017〜2018年度運動方針(案)に関する質疑・要望に対し中央本部の各担当役員が答弁。その後、一般経過報告の承認、続いて第1号議案、第3号議案について、それぞれ可決されました。 また、「自動車運転者に改正労基法の時間外上限規制の一般則適用を求める決議(案)」と「スローガン」も採択されました。
 最後に役員選出が行われ、難波中央執行委員長の音頭で「がんばろう三唱」が行われ、第50回定期大会は無事終了しました。

 

<自動車運転者に改正労働基準法の時間外上限規制の 一般則適用を求める決議>

 「働き方改革実現会議」における時間外上限規制の導入の機運に、私たちは長時間労働の是正に向けた大きな期待をもった。その期待とは、現在適用除外になっている自動車運転の業務が、適用業務となることと、他産業と同じ時間外上限規制が適用されることである。
 3月末に公表された「働き方改革実行計画」によると、上限規制については、原則月45時間以内、年360時間以内とされ、繁忙月については労使協定を前提に、年720時間以内、2ないし6か月の平均が休日労働を含めて80時間以内、単月でも休日労働を含めて100時間未満とされた。
 自動車運転業務の適用除外の問題については、今回適用業務となることで解決をみた。しかしながら、その内容は、他産業の施行後5年の猶予期間、しかも、適用される上限時間は、年960時間以内、というものである。特に問題なのがこの960時間には休日労働が含まれておらず、これを年間総拘束時間に置き換えると、現行の改善基準告示の水準と何ら変わらないことである。
 そもそも、労働基準法は、労働者が人たるに値する生活を営むための最低基準を定めたものであり、従事する業務によって時間外労働の上限規制に違いを設けること自体、間違っている。すべての労働者に同じ基準が適用されるべきであり、このままでは、過労死認定基準を超えて働くことを国が承認するのと何ら変わらない。そのような法改正を受け入れるわけにはいかない。
 労働基準法の改正案は、秋の臨時国会に提出される見込みである。残されている時間は少ない。私たちは、改正案を修正させるために、自動車運転業務への理不尽な時間外上限規制を、社会的な合意を形成することで跳ね返していく必要がある。そのために、100万人署名の実施をはじめ、広く世論を喚起する運動を展開していくことをここに決議する。

2017年7月7日
全日本運輸産業労働組合連合会 第50回定期大会

 

<スローガン>
魅力ある運輸産業をめざし 政策実現に向けた力強い運動を!
若者が夢と希望をもって働くことができる未来を構築しよう



委員長挨拶(要旨)


中央執行委員長
難波淳介

時間外労働の上限規制の適用を求める請願署名など
広く世論を喚起する運動を展開


 運輸労連は1968年11月12日に結成されました。以後、トラック運輸産業で働く者としての「安全運行」に向けた強い思い。そして「労働環境・労働条件の改善」に向けた、人から人への不断の運動が紡がれ続け、本日で50回目の節目の大会を迎えることができました。
 現在のトラック運輸産業は1990年の規制緩和以降、荷主に従属する関係を余儀なくされ、コストカットの名の下に不毛な過当競争を強いられています。そのため、トラック運輸産業は長時間労働・低賃金が常態化。慢性的な長時間労働は過労死の原因となり、厚生労働省の調査によると「脳・心疾患の支給決定件数」ではワースト1というのが実態です。また長時間労働はドライバーの健康を損なわせ、安心・安全・信頼の輸送システムの維持を大きく阻害しています。
 このような労働実態ですから、トラック運輸産業の将来を背負う若者は激減し、高齢化と人員不足により、まさに「絶滅危惧職種」になりかねない状況で、明日にでも物流は止まってしまうかもしれません。これは、非常に現実味を帯びた将来予測です。それだけ、現在のトラックドライバー不足は深刻な問題です。
自動運転や物流における無人化計画は、ドライバー不足・ドライバーの負担軽減・事故防止の観点から注目を集めています。私たちはこれから発生する未来の技術革新にいかに対応するべきか。次の50年に向かい、皆さんと考えていきたいと思います。
 一方、政府は働き方改革実現会議の実行計画を踏まえて、時間外労働の上限について、年720時間以内などとすることを労働基準法制定以来、初めて罰則付きで定めることとしました。しかし、自動車運転の業務には一般的なルールが適用されず、他の業務への規制開始から5年後に、年960時間以内の上限規制が適用されることとされました。
 また、休日労働を含むかどうかは明文化されておらず、休日労働が別枠となれば過労死基準を大幅に上回る時間外労働が容認されることとなります。運輸労連は一般則の適用実現をめざし、100万人請願署名をはじめ、総力を結集して取り組みたいと思います。

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