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機関紙づくり vol.21

レイアウト編――その3

読みやすさと“禁手”


読みやすさを演出するために

 機関紙づくりの経験がないのに、「腹切り」なら知っているという人がいます。それほど有名な禁手の代表「腹切り」ですが、本当に避けるべきレイアウトなのでしょうか。
 「腹切り」とは「紙面の段と段を仕切る中段ケイが左右いっぱいに通ってしまうこと」です。しかし、毎日新聞は1991年に紙面を改革し、中央で上下に2分割した紙面を基本とし、現在もそのレイアウトを継続しています。
 このように「腹切り」そのものがダメというわけではありません。ただ「腹切り」になると、読者が記事を読むうえで混乱するケースが多いということです。
 また、「腹切り」から起こる禁手の例として、図1の見出しAの記事は、①から③へ流れ、見出しBの記事は、②から④へ流れていますが、これには無理があります。本来であれば②から③へ流さなければなりませんが、すでに見出しAの記事が①から③に流れてしまっているので、②から④へ流さざるを得ない状況となったのです。
 こうした状態を「両流れ」といいます。「両流れ」は記事がどのように流れていくのか、読者にとって分かりにくい原因となります。

禁手はレイアウトの効果を殺すもの

 その他の代表的な禁手についても解説します。

見出しの直列と並列
 図2の見出しDとFの配置は「見出しの直列」と言われ、紙面の流れやバランスを崩したり、「腹切り」の原因となったりします。また、見出しEとFは、同じ段に並んでいることから「見出しの並列」と言われ、よく似た大きさの見出しが同じ段に並ぶことで変化がなくなり、平板な紙面に陥ってしまいがちです。

泣き別れ
 一つの記事が上段から下段に流れていくときに、上段の終わりが「。」で終わっているため、どこへ記事が続いているのか、読者が迷ってしまうことがあります。これが「泣き別れ」の図3の例で、①の記事と②の記事がいずれも「。」で終わっているため、記事が①から③へと続くのか、②から③へと続くのか混乱してしまいます。文字数を加減するなどして「。」で終わらないように修正しましょう。

飛び降り・飛び越し
 上段から下段に流す記事が、写真や図が障害になって、それを飛び越している状態を「飛び降り」と言います。図4では見出しIの記事が④から⑤へ、見出しKの記事が⑥から⑦へ流れており、コラムや写真、図が邪魔をすることで、記事が下へ飛び降りてしまっている例です。段を越えて読まなければならないので、すんなりと読めません。

 また、同じ段で写真や図が邪魔をしていて、記事がヨコに飛んでいることがありますが、これは「飛び越し」といいます。記事を遮断することになるので避けるべきです。
 禁手は、レイアウトを効率的に行うためにつくられた決まりごとで、あくまで読みやすさや見栄えを目的としたものです。
 最近では自由な発想による紙面づくりも進んでいますが、しかし、読者が読み間違えないために最低限の配慮は必要です。


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