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機関紙づくり vol.9

【実践編「レイアウトのノウハウ〈その1〉」】

どこが・どう違うか
「タテ組み」と「ヨコ組み」

 

 最近のPR紙やコミュニティ紙などは、ヨコ組みのものが多くなってきました。またパソコンや携帯・スマートフォンの普及でヨコ書きに慣れたせいか? 労働組合の機関紙に「ヨコ組み」も見受けられるようになりました。そこで機関紙の「タテ組み」と「ヨコ組み」の特性、そしてヨコ組みの文字組みとレイアウトを紹介します。


ヨコ組みの機関紙も見受けられるのはなぜか?

 新聞スタイルの読み物は「タテ組み」か「ヨコ組み」――現在、一般紙や専門紙などの新聞に関しては、タテ組みが多いのが実態です。これは読者の読み慣れと、日本文字自体(漢字・ひらがな)がバランスの取れるように作られているからと言われています。
 では、労働組合の機関紙にヨコ組みが目を引くようになったのは、なぜでしょうか。考えられることは、会議資料や報告文書はヨコ書きが主流になっていることです。日常的にヨコ書きの文書に接していると、「どうもタテ書きには抵抗が感じられる」とか「ヨコ書きの方が読みやすい」と映るからです。
 もともと機関紙はタテ組みが主流ですが、日常的に扱う文書がパソコンの普及によってヨコ書き文書の作成が容易となり、この傾向が徐々に機関紙のヨコ組みにつながっているとも言えます。

「タテ組み」と「ヨコ組み」の特性――どこが違うか?

 まず、「タテ組み」と「ヨコ組み」――どこが・どう違うのでしょうか(B4判、A4判を想定)。同じ原稿で編集した「タテ組み」と「ヨコ組み」を比較してください(別図1、2参照)

【タテ組み】
・レイアウトに変化をつけやすく、インパクトに富む紙面構成が可能。
・一定のルールに基づいて写真・見出し・記事をレイアウトしないと読みにくくなるため、レイアウトがややむずかしく感じられます。

【ヨコ組み】
・段数がタテ組みに比べて少ない(B4判は4段、A4判は3段を想定)ため、レイアウトで悩まずに済みます。
・数字や英単語はヨコ組みの方が読みやすく、理解しやすいと言えます。
・反面、レイアウトに変化がつけにくく、タテ組みと比べてインパクトに欠けます。

 以上のように、どちらの組み方も一長一短が伴います。とくにヨコ組みはタテ組みに比べて段数が少ないために、単調なレイアウトに陥りがちになるという点が避けられません。つまり記事・見出し・写真などを上から順に流すだけではビラや速報の域にとどまってしまい、記事・見出し・写真の組み合わせによってはじめて可能となる機関紙の力=インパクトが失われてしまうといっても過言ではありません。
 この課題をどう補うか、より有効な「ヨコ組み」を考えてみましょう。

「ヨコ組み」でも変化のある紙面が可能

 別図2のヨコ組みの「ユニオン新聞」は、B4判3段の紙面構成。まず左上にトップ記事の見出しを、右下にはキャンペーンのお知らせ記事を置き、記事は左の段から右の段に流れています。記事が次の段へ流れるようにしたことによって、タテ組みに近いインパクトを持つ紙面になっています。
 ここでお分かりのとおり、ヨコ組みでも3〜4段組みにすることによってレイアウトに変化が生まれるのです。例えば別図3のとおり1段組みの場合、見出しと本文を並べるだけでは極めて平面的な紙面になっています。これを2段組みにすることによって、1段見出しと2段見出しが可能となり、さらに写真等を織り交ぜれば1段組みよりも変化が感じられる紙面になります。さらに3段組みにすると、別図2のとおりタテ組みにほぼ近いレイアウトが可能となり、1段および2段組みの紙面よりインパクトが増し、さらに読みやすくなります。
 このように、ヨコ組みのより有効なレイアウト法として、①段数を3〜4段(B4判、A4判を想定)にする、②コラムやお知らせなどのハコものを上下の角に置き、記事が左の段から右の段に流れるようにする――などが考えられます。

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