活動報告

軽油引取税の暫定税率廃止の政策経緯と廃止に伴う対応


連合中央委員会で発言する運輸労連(2025年11月28日)

 昨年の第219回臨時国会(2025.10.21~12.17)では、ガソリン揮発油税および軽油引取税の旧暫定税率を廃止する「ガソリン暫定税率廃止法案」が審議され、2025年11月28日の参議院本会議において全会一致で可決・成立しました。
 暫定税率廃止に向けては、立憲民主党を基軸に与野党6党がガソリン揮発油税(25.1円/ℓ)の暫定税率を2025年12月31日までとすること、流通や地方財政への影響に十分配慮すること、さらに軽油引取税(17.1円/ℓ)の暫定税率を2026年3月31日までとするための必要な措置を講じることが盛り込み、野党が結束したことにより与野党合意が形成され、法案成立につながりました。

 一方、暫定税率廃止を理由に荷主等から一方的な運賃値引き要請が強まることが懸念されたため、運輸労連はあらゆる機会を捉え、関係各所に対し、安易な値下げが行われないよう要請行動を展開しました。
 その一環として、参議院本会議で「ガソリン暫定税率廃止法案」が成立した11月28日には、連合第96回中央委員会が開催され、中央委員として出席した運輸労連・入倉書記次長は発言の機会を通じ、自動車関係諸税の「当分の間税率」廃止という長年の課題が実現したことへの感謝を表明しました。あわせて、トラック業界が直面する現状を訴えるとともに、今後は業界として効率化に取り組みつつ、これまで以上に「価格転嫁」が不可欠であることを説明し、連合に対して理解と協力を求めました。さらに、「働き方改革」「価格交渉」「価格転嫁」が本格化する中で、「適正運賃・料金の収受」を実現し、安さの競争から持続可能性の競争へと価値観を転換していく決意を示し、最後に、暫定税率廃止が物流費の低下を意味するものではないことを強調しました。

 また、11月28日夕刻には、連合の芳野会長が高市首相と面会した旨の報道がありました。
面会では、国会でガソリン・軽油の暫定税率廃止が成立したことを踏まえ、運送業における適正な価格転嫁の促進や、人への投資の重要性が強調されたとされています。これらの指摘は、同日午前に開催された連合中央委員会において運輸労連から示された問題意識とも通じるものであり、その内容に言及いただいた形となりました。
 このように、同日に暫定税率廃止が国会で可決・成立し、連合中央委員会で運輸労連が業界の現状を訴え、夕刻には連合会長が首相と運送業の課題を共有できたことは、11月28日に3つの動きが重なったものであり、極めて意義深いタイミングとなりました。

 そのような中、2025年12月22日には、燃料価格が下落した場合であってもトラック運送業における適正取引の徹底を求める文書が、国土交通省・中小企業庁・公正取引委員会の3者連名で発出されました。この文書は、農林水産省、経済産業省、国土交通省を通じて、所管する荷主団体や全日本トラック協会に対して要請として伝達されたものです。
 要請文書では https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001974412.pdf
以下の点が明確に示されています。
・燃料価格の下落を理由とした一方的な運賃引下げ要求の禁止
・下請代金支払遅延等防止法および独占禁止法の遵守
・適正な運賃・料金の収受の確保
これらにより、行政としても物流現場の健全な取引環境を守る強い姿勢が示されました。

【振り返って/暫定税率廃止に向けた運輸労連の働きかけと直近の動き】
 暫定税率の廃止を含む自動車関係諸税の軽減・簡素化は、従前から連合および交運労協の重点政策として、その実現を訴えてきた課題です。2025年8月以降、運輸労連は税制改正に関する要請や運輸振興助成金の存続を中心に、連合政策委員会、運輸労連政策推進議員懇談会、立憲民主党税制調査会、立憲民主党国土交通部会「税制改正団体ヒアリング」、衆議院財務金融委員会、自民党「トラック輸送振興議員連盟」等、全日本トラック協会とも連携しながら、精力的に働きかけを行ってきました。

【振り返って/道路特定財源制度の変遷と暫定税率撤廃に向けた運輸労連の歩み】
 道路整備の促進を目的とした「道路特定財源制度」は、1954年に受益者負担の考え方に基づき、揮発油税を財源として創設されました。その後、モータリゼーションの進展に伴う財源不足を補うため、本則を上回る「暫定税率」が導入され、長年にわたり自動車ユーザーに追加的な負担を強いてきました。
 軽油引取税の暫定税率は1974年に導入され、道路整備の財源として位置付けられてきました。しかし、物流産業において軽油は不可欠な基幹燃料であり、暫定税率(1リットル当たり17.1円)は長年にわたり事業者の経営を圧迫し、現場で働く労働者の労働条件にも影響を及ぼしてきました。
 こうした状況を踏まえ、運輸労連は2008年1月28日に開催した第46回中央委員会において、トラック運輸産業の経営と労働条件の悪化につながる道路特定財源の「暫定税率」撤廃を求める「決議」を採択しました。さらに、同年2月22日〜23日の2日間には、全国9ブロックが一斉に「暫定税率の廃止」を訴えるアピール行動を展開しました。また、連合(当時:高木剛会長)も3月27日〜28日の2日間、暫定税率廃止を求めて国会前で「座り込み行動」を実施し、課題の社会的な可視化と政策転換を強く求めました。
 しかし、これらの抗議行動にもかかわらず、5月の国会では暫定税率の継続が可決され(2009年度から「一般財源化」)、廃止は実現しませんでした。
 これを受け、運輸労連は2月に続く第2弾の行動として、10月19日に地連・都府県連が一斉に街頭行動を展開し、一般市民に対して暫定税率廃止を訴えました。
 さらに国会への働きかけとして、11月25日には民主党および社民党に対して緊急要請を実施しました。政府・与党が道路特定財源の「一般財源化」を打ち出したことに対し、課税趣旨を変更するのであれば、まず「暫定税率を廃止」したうえで根本的な税制改正の議論を行うべきであると強く主張しました。
 2009年度には道路特定財源制度が廃止され、暫定税率はそのまま維持されたうえで「一般財源化」されました。2010年度には名称が「当分の間税率」に変更されましたが、実質的には従来の暫定税率が継続される形となりました。その後も税率は長期間据え置かれ、事実上の恒久税率として扱われてきました。

【結び】
 今回の軽油の暫定税率廃止は、私たち運輸労連が粘り強く取り組んできた重要課題であり、長年の運動が大きな成果として結実したものです。この間、取り組みを支えてこられた先達の皆さま、加盟組合、連合、交運労協、関係産別、そして事業者団体の皆さまの不断の努力とご支援に、改めて深く感謝申し上げます。
 同時に、今回の軽油暫定税率廃止は、物流産業の未来に向けた重要な一歩である一方、廃止はゴールではなく、新たなスタートでもあります。私たちは、このご恩に報いるためにも、持続可能で誇りあるトラック運輸産業を築くため、引き続き、業界発展に資する運動に取り組んでまいります。

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