車両火災は偶然じゃない
― 主な原因は追突が引き金に ―

 つい先頃、東名高速上り線(静岡市)で保冷車がのり面に乗り上げて横転、炎上した。単独事故で、運転手は死亡したので詳しい事情はわからない。車両火災とのり面乗り上げとの因果関係についても、はっきりしたことはわからない。車両火災について、特別に調査した報告を目にしたことはないが、これまでにも結構発生している。
 記憶に新しいところでは、昨年11月、東名高速の上り線の首都高速近くで、飲酒運転のトラックが乗用車に追突して炎上、乗用車に乗っていた幼児2人が死亡した。また、今年4月には新潟県の国道8号で大型トラックが軽乗用車に追突、その勢いで軽乗用車は前のトラックに衝突して炎上、乗員3名が焼死した。死亡事故に至らない火災事故は他にももっとあるはずだ。車両火災は火の廻りがはやいから、乗員の圧閉により脱出の余裕がないからこわい。
 火災事故といえば、79年7月11日、東名高速・日本坂トンネル内で発生した大惨事を記憶している人は多いはずである。車両160台が焼け、6人が死んだ未曾有の惨事は世界中に伝えられた。
 87年3月には、東北自動車道で27名が関連する追突事故が発生、13台が炎上、トラック運転手1名が焼死した。車両火災がなぜこわいか、これはもう説明の要はないだろう。しかし、これまでのところ車両火災を防止する安全対策を強化すべきだ、というような声は、ほとんど聞こえてこない。自動車の燃料は引火性が強く、燃料タンクに火が廻ればたちまち爆発し、一瞬にして炎に包まれてしまう。しかも、燃料タンクは意外と無防備といってよい。  乗用車のタンクは60R前後だが、トラックになると200Rがふつうであるが、400Rがざらである。トラックのタンクは露出しているから、強い衝撃によって燃料が漏れやすい。前述の東北道の事例では「トラックから流れ出た燃料に何かの火が引火、爆発を伴いながら……」と当時の新聞は報じている(傍点筆者)。
 ま、いろいろ問題はあると思うが、気になるのは、トラックの追突が車両火災の引き金になっている例が多いことだ。乗用車のタンクは大体、後部シートの下部に搭載されている。そこへのしかかるように、大きなトラックが追突すればひとたまりもない。従って、乗用車に急接近するような場合は、そのことをチラと思い浮かべてみることも必要だ。車はどれも危険な可燃物を満載している。特に高速道路では、どの車も満タンだと思うべきだ。そう思うと、あまり近づく気になれないはずだが、どうだろう。  トンネル内では、日本坂トンネル事故を思い出しながら運転するのもいいかもしれない。