「違法駐車状況実態調査」の集計結果 (1998年3月実施)

 

 1.調査実態について

1.目 的
 道路混雑の原因ともなっている違法駐車問題は、集配車両を中心としてトラック運送業においても切実な課題であることから、特に都市部の主要道路における違法駐車の実態調査を行い、そのデーターをもとに今後の駐車場整備等の要求資料とするとともに、中央・地方における道路交通環境の改善にむけた運動に資することとする。

2.調査方法
@調査対象地域については、各都道府県ごとに県庁所在地またはそれに準ずる都市の、違法駐車が多い地点を選定した。その結果、沖縄を除く46都道府県、66都市の361地点で調査を実施した。
A1998年3月6日を統一行動日に設定し、調査を実施した。調査時間は、10時から12時、13時から15時の4時間とし、各1時間ごとに対象地域における違法駐車車両の数を、徒歩または車両による巡回方式によってカウントした。なお、全国で770名がこの調査活動に参加した。
B違法駐車車両の数は、つぎの車種区分によって集計した。
・営業用トラック〜2トン以上の営業用ナンバー
・自家用トラック〜2トン以上の白ナンバー
・自家用乗用車他〜自家用乗用車、バンなど

 

 2.調査実態について

1.貨物車以外の車両が違法駐車の4分の3を占めている
 全国の調査地域での違法駐車車両総数は93,406台である。その内訳を見ると、営業用トラック9.7%(9,017台)、自家用トラック14.7%(13,739台)、自家用乗用車他75.6%(70,650台)となっており、昨年同様トラック以外が違法駐車の大半を占めている実態にある。また、時間別に駐車車両台数の実態を見ると、営業用・自家用トラックとも、時間の経過とともに減少しているのに対し、乗用車などは午後の方が増加している傾向にある。

2.大都市での違法駐車の比率が高い
 大都市の特徴をみるために、調査対象地域の中から、特別区および政令指定都市に絞って集計した。車種区分別にみると、営業用トラック9.9%(6,508台)、自家用トラック15.2%(10,017台)、自家用乗用車他74.8%(49,163台)となり、全国とほぼ同様の傾向を示している。

 なお、自家用乗用車他の全体に占める割合を各都市・時間帯ごとに比較すると、以下のとおりとなった。

時間帯 札幌 仙台 新宿 台東 中央 横浜 千葉 名古屋 大阪 神戸 京都 広島 福岡 北九州
10〜11 85.4 83.8 40.2 63.6 40.8 71.6 70.3 83.1 65.5 92.4 72.9 63.5 66.7 67.0
11〜12 88.1 85.4 36.9 64.5 50.6 70.4 61.3 85.7 67.6 91.1 70.6 74.7 70.7 71.4
13〜14 88.6 91.4 54.9 67.4 64.6 81.5 63.0 79.0 71.8 94.1 68.4 72.2 68.3 73.6
14〜15 89.9 86.7 52.6 76.3 65.3 62.9 64.6 86.2 70.6 93.9 64.1 70.1 70.4 74.5

 

3. 地域によっては貨物車の違法駐車も多い
調査地域別に見ると、貨物車が占める比率が高い都市・地点もある。全国集計に比して高いところをピックアップするとつぎのとおりである。これらの地域は、全時間帯を通して貨物車が多い実態にある。

●時間帯ごとの比較で、営業用・自家用をあわせた貨物車の違法駐車が多い地域

50%以上 福島市(13時〜14時)、盛岡市(10時〜11時)、八戸市(10時〜12時、14時〜15 時)、弘前市(13時〜14時)、新宿区(10時〜12時)、中央区(10時〜11時)、水戸市(11時〜12時)、金沢市(10時〜12時)、松江市(10時〜11時)、高松市(11時〜12時)、佐賀市(10時〜11時)大分市(13時〜14時)
40%以上 釧路市(13時〜14時)、福島市(11時〜12時、14時〜15時)、郡山市(10時〜11時)、盛岡市(11時〜12時)、八戸市(13時〜14時)、長野市(10時〜11時)、新宿区(13時〜15時)、中央区(11時〜12時)、水戸市(10時〜11時、13時〜15時)、宇都宮市(10時〜12時)、静岡市(10時〜11時)、松江市(11時〜12時、14時〜15時)、鳥取市(10時〜11時)、高松市(10時〜11時、13時〜14時)、松山市(10時〜11時)、佐賀市(13時〜14時)、長崎市(10時〜11時、13時〜14時)、熊本市(10時〜11時)、大分市(10時〜11時、14時〜15時)、宮崎市(10時〜11時)、鹿児島市(11時〜12時)
30%以上 函館市(14時〜15時)、釧路市(10時〜11時、14時〜15時)、福島市(10時〜11時)、郡山市(11時〜12時、13時〜15時)、弘前市(11時〜12時)、長野市(11時〜12時)、酒田市(14時〜15時)、台東区(10時〜12時、13時〜14時)、中央区(13時〜15時)、横浜市(14時〜15時)、千葉市(11時〜12時、13時〜15時)、静岡市(11時〜12時)、金沢市(13時〜14時)、大阪市(10時〜12時)、京都市(13時〜15時)、奈良市(11時〜12時)、松江市(13時〜14時)、鳥取市(11時〜12時、13時〜15時)、高知市(10時〜12時、14時〜15時)、高松市(14時〜15時)、松山市(11時〜12時、14時〜15時)、福岡市(10時〜11時、13時〜14時)、北九州市(10時〜11時)、佐賀市(11時〜12時)、長崎市(11時〜12時、14時〜15時)、大分市(11時〜12時)、宮崎市(11時〜12時、13時〜15時)、鹿児島市(10時〜11時)

4.トラックの違法駐車の内訳をみると全体として自家用の方が多い
トラックの違法駐車を営業用・自家用に分けて見た場合、すべての時間帯にわたって自家用トラックの駐車台数の方が多い。この傾向は大都市を見ても同様である。ただし、各都市ごとに見ると、営業用車両の比率の高い時間帯があるが、これらの都市は、おおむね自家用自動車他と比してトラックの違法駐車が少ない地域であった。なお、都市・時間帯別に比較したものをカウントすると以下のとおり。

営業用トラックが75%以上の都市
14
50%以上75%未満の都市
69
25%以上50%未満の都市
131
25%未満の都市
43

 

 3.この行動に参加した調査員からの問題点と感想

例年、調査員から問題点の指摘と感想が寄せられているが、今回は、山口県交運労協から調査にあたっての意見が寄せられた。内容は、以下の通りである。

@圧倒的に一般の乗用車・軽自動車の駐車が多く、台数は若干減少した。
A悪質な違反車両(買い物・金融機関利用などによる長時間駐車、交差点付近駐車、歩道に乗り上げた駐車、逆進行方向の駐車)が見られるなど、駐車マナーが悪すぎる。
B自営業者など、自店前に自店車両の駐車や商品を歩道に陳列しているケースがあった。
Cバイク・自転車(337台)を路肩・歩道に乗り上げて通行の妨げになっていた。
D商店や金融機関の駐車スペースが狭いため、歩道・車道にはみ出した車両があった。
Eパーキングゾーン設置地帯での反対車道の駐車車両が多く、通行車両の離合が難しい。
F警察の巡回で、一時的に移動した車両が、数分後には元の場所に戻るという現象が見受けられた。