2002年6月度実績を対象とした加盟組合・組合員の賃金・労働条件に関する実態調査の結果がまとまりました。今回の調査は例年通りの賃金、定年制と継続雇用制度、退職金、休日・労働時間、労災補償等の実態と、付帯調査として企業内最賃協定などの動向調査を加えて行いました。
 調査には218組合(前年220組合)のご協力をいただきました。そのうち賃金項目に関する有効集約数は145組合、対象組合員数は94,631人(同93,764人)でした。集約組合を規模別でみると、大規模(1,000人以上)が9組合で対象者数は75,028人、中堅規模(300〜999人)は16組合で9,103人、中小規模(299人以下)が120組合で10,500人となっています。このうち187人の運転者を含む女性労働者の合計は4,557人で総数の4.8%でした。また、賃金項目以外の労働条件についての有効集約組合は218組合です。
 10月に発表された労働力調査において、完全失業率では5.5%と昨年12月の過去最悪水準に並びましたが、男性の失業率は5.9%と過去最悪を更新するなど、雇用情勢は悪化の一途をたどっています。しかし、一方では、景気の先行指標とされる求人状況は回復基調を保っており、プラス面とマイナス面が混在する雇用環境となっています。
 国内経済においては、今年度前半には在庫調整一巡を背景とする輸出の増加などが、景気のけん引役を果たすなど回復軌道をたどってきました。しかし、後半以降は米国景気の成長が鈍化し、株価下落ともあいまって再び先行き不透明感が強まってきています。
 今回の集約結果の概要における全体の傾向値を前年と比較してみると、総体的に労働時間が増加しているにもかかわらず、所定内賃金、歩合給および超勤手当など、ほとんどの項目で減少しており、企業規模・職種にかかわりなく総額賃金が減額となっています。さらに、一時金の低下から年間所得でも減額となっており、大手組合の方がその幅は大きくなっています。こうしたことから、個別による年収ベース比較では、産業内格差は若干縮小したといえますが、産業間格差においては拡大している傾向があらわれています。
 いずれにしても総論的には、私たちトラック運輸労働者は、他産業労働者より長時間働きながら、賃金や一時金、退職金などは他産業水準よりかなり低位におかれているといえます。
 このような労働条件を改善させ、働く者の雇用の安定、生活向上をはかるのが労働組合の役割であり、春闘はそのための運動(手段)の一つでもあります。来るべき2003年春季生活闘争の取り組みにあたり本資料を参考にしていただければ幸いです。終わりにあたりまして、多忙のなか本資料の作成にご協力いただきました、単組および地連・都府県連の皆さんにお礼申し上げ報告とします。

全日本運輸産業労働組合連合会
労働政策部長 桜木 隆