高速自動車道のSA・PAでトラックの駐車が困難な状況の改善を
国土交通省に要請

 

 運輸労連の産業政策課題の安全問題の取り組みのひとつとして、高速自動車道のSA・PAの駐車場不足対策が挙げられます。これまでも加盟組合の多くの仲間から「SA・PAで駐車が困難なため休憩がとれない」との深刻な声が寄せられています。
 運輸労連はこれを受けて実態を把握し、映像資料にまとめるとともに、関係各所にSA・PAにおけるトラック駐車スペースの改善に向けて要請を行うこととし、12月5日には国土交通省へ要請を行いました。  
 要請は、国土交通省道路局の高速道路課長へ要請書(別添参照)を手交し、その後、運輸労連の山浦中央執行委員長から、@深夜割引時間帯の拡大など制度の改善、Aトラックステーション利用時の前後の高速道路料金の通算化、など要請事項の趣旨説明を行いました。そして、世永書記次長(産業政策部長)から「名古屋周辺は昼も停められない。また、実態調査は平日火曜に実施したが、このような状況である。年に数回のピークでは我慢しなければならない部分はあるが、平日でも混雑している」と実態について報告がありました。  
 これに対して、道路局からは「具体的なご意見をいただき、今後意見交換をさせていただきながら進めたい」との回答がありました。


運輸労連 発 第22号
2014年12月5日

国 土 交 通 大 臣
 太 田  昭 宏   様

全日本運輸産業労働組合連合会
中央執行委員長 山 浦  正 生

高速自動車道のSA・PAにおけるトラックの駐車が
困難な状況の改善を求める要請について

 平素より、運輸労連の活動にご理解・ご協力いただき、厚く御礼申し上げます。
 さて、私どもは、道路を職場に働く者として安全確保に向けた取り組みを行っていますが、加盟組合の多くの現場から、高速自動車道のSA・PAで駐車が困難なため休憩がとれないとの声が寄せられています。実際にも、映像資料(DVD)のとおり、駐車スペースが絶対的に不足しているため、本来の車種区分以外のスペースでの駐車や、停められずに通過せざるをえない車両も多く、また、SA・PAの入口や本線合流車線に停まっているトラックもしばしば見受けられます。
 トラック運輸は物流の9割を担い、日本の経済や国民生活を支える柱として日夜運行していますが、物資の円滑な流通に不可欠な拠点間輸送において、「停めるスペース」というインフラが根本的に不足しています。
 つきましては、本課題の改善・解決に向けて下記のとおりご要請申し上げます。

1.現在の施策の強化・拡大

  • SA・PAの駐車スペースの整備・拡充
     当面の施策として、まずは混雑が常態化しているSA・PAの駐車スペースの容量拡大に向けて、今後の整備・拡充計画を前倒しで実施されたい。あわせて、豊橋本線料金所跡地等の遊休地を活用して、SA・PAを増設されたい。

  • 深夜割引時間帯の拡大(例:20時〜翌朝6時)
     従来は、夜間割引時間帯(20時〜0時、4時〜6時:3割引)と深夜割引時間帯(0時〜4時:5割引)で割引率が段階的に設定されていたが、改定後は深夜割引時間帯のみとなったため、割引適用のために待機する車両でSA・PAが一層混雑している。加えて、出口手前での不法な滞留行為が横行する要因となっている。
     したがって、割引時間帯の拡大および割引率の段階的適用など、利用の分散化に向けた料金施策を講じられたい。

2.新たな視点からの施策について

  • 高速道路外の駐車施設等利用時の高速道路料金通算化(長距離逓減割引の継続等)による当該施設の利用促進
     高速道路のIC付近や沿道に所在するトラックステーション等の駐車施設は、SA・PAの代替として活用が可能である。しかし、高速道路から一旦流出することで長距離逓減割引を打ち切られることが、施設の利用のネックとなっている。したがって、これら高速道路外の駐車施設の利用促進に向けて、前後の高速道路料金の通算化(長距離逓減割引の継続等)をはかられたい。

  • 大規模災害発生時の基幹的広域防災拠点としての活用も視野に入れた貨物車両の大規模駐車スペースの整備
     とりわけ混雑が常態化している箇所は、首都圏・中京圏・近畿圏の手前に所在するSA・PAであるが、その中には、到着指定時間までの調整を兼ねて休憩している車両も多くある。一方で、近いうちに発生が予想される東南海地震や首都圏直下地震等への対策として、発災時に応急復旧活動を円滑に展開できるよう防災拠点の整備が重要である。したがって、大都市圏の後背地の高速道路IC近辺に、平常時には貨物車両の大規模駐車施設(前後の走行ともに高速道路利用時は前項の料金通算適用対象)として、また、発災時には空港・港湾施設と同様に基幹的広域防災拠点として活用可能となる施設を整備されたい。

以上